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2025.05.10
中小企業新事業進出補助金とは?工場・倉庫建設でも使える!
こんにちは!北海道〜東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
企業の成長や新事業への挑戦の際には、大きな設備投資が必要になることがあります。
そんな中、新市場・高付加価値事業への進出に必要な設備投資を支援する制度として始まった「中小企業新事業進出補助金」が注目されています。
今回は、この補助金の概要や申請要件、対象経費、そして工場・倉庫建設への活用方法についてご紹介します。
工場や倉庫の建設費用も対象となるため、事業拡大をご検討中の企業様はぜひ最後までご覧ください。
※2025年5月時点の情報です
中小企業新事業進出補助金の概要を詳しくわかりやすく紹介!
中小企業新事業進出補助金とは、事業再構築補助金の後継制度として令和7年度(2025年度)からスタートした補助金事業です。
企業の成長・拡大を目指し新たな事業分野に進出する中小企業等を対象に、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への投資を後押しします。
特徴的なのは、補助対象となる「新事業進出」が明確に定義されており、「新製品(または新サービス)」を「新規顧客」に提供する取り組みであることが求められている点です。
中小企業新事業進出補助金の具体的な概要を解説します。
※2025年5月時点の情報です。最新の情報や詳細については公式サイトもご確認ください
補助対象者
「企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等」が対象となります。
ただし、大企業(常時使用する従業員数が2,000人超の会社等)やみなし大企業、農作物の生産自体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合は対象外となります。
補助金額と補助率
補助率は対象経費の1/2で、従業員数に応じて補助上限額が設定されています。
- 従業員数20人以下:2,500万円(大幅賃上げ特例適用事業者:3,000万円)
- 従業員数21~50人:4,000万円(大幅賃上げ特例適用事業者:5,000万円)
- 従業員数51~100人:5,500万円(大幅賃上げ特例適用事業者:7,000万円)
- 従業員数101人以上:7,000万円(大幅賃上げ特例適用事業者:9,000万円)
※大幅賃上げ特例適用事業者とは、事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6%を達成する事業者を指します。
補助金の下限額は750万円となっているため、少なくとも税別1,500万円以上の設備投資が対象です。
補助対象経費
補助対象となる経費は以下の通りです。
- 機械装置・システム構築費(建物費といずれか必須)
- 建物費(工場や倉庫の建設・改修費用も含まれます)
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
- 広告宣伝・販売促進費
「建物費」が対象経費に含まれているため、工場や倉庫の新設・改修に対しても補助を受けられます。
生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場など、事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費が対象です。
また、補助事業実施のために必要となる建物の撤去費用や、建物に付随する構築物の建設に要する経費も対象となります。
補助金のスケジュールと申請の流れ
第1回公募のスケジュールは以下の通りです。
- 公募要領公開:令和7(2025)年4月22日(火)
- 申請受付開始:令和7(2025)年6月頃(予定)
- 公募締め切り:令和7(2025)年7月10日(木)18:00まで
- 採択発表:令和7(2025)年10月頃
- 交付申請期限:採択発表から2カ月以内
- 実施期間:交付決定日から14カ月以内(ただし採択発表日から16カ月以内)
- 実績報告提出締切日:補助事業完了期限日(これを初回とし以降5年間報告)
令和8年度(2026年度)末までに計4回の公募が予定されており、計6,000社程度の採択が予想されています。
申請は全て電子申請で行われ、手続きにはGビズIDプライムアカウントが必要です。
アカウントの発行には時間がかかる場合があるため、申請をお考えの方はあらかじめ取得しておくことをおすすめします。
中小企業が工場や倉庫の建設、設備導入時に活用できる補助金の種類として、このほか「大規模成長投資補助金」「中小企業成長加速化補助金」「中小企業省力化投資補助金」などもあります!
こちらのコラムでもご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
「中小企業成長加速化補助金」とは?工場・倉庫建設でも使える!
「中小企業省力化投資補助金」とは?工場・倉庫建設でも使える!
中小企業新事業進出補助金の基本要件と注意点も確認
中小企業新事業進出補助金の申請には、以下の7つの基本要件を満たす必要があります。
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①新事業進出要件
申請企業は新たな事業分野への挑戦を行う必要があります。
ここでいう「新事業進出」とは、「事業者にとって新製品(または新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦」と明確に定義されています。
詳細は「新事業進出指針」に定められていますので、申請前に必ず内容を確認しましょう。
②賃上げ要件
補助事業終了後3~5年の間に、次のいずれかの水準以上の賃上げを実施することが条件です。
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県の最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
- 給与支給総額の年平均成長率が2.5%以上
未達成の場合は、補助金の返還義務が発生します。
③事業場内最賃水準要件
補助事業終了後3~5年の間、毎年、事業所内の最低賃金を事業実施都道府県の地域別最低賃金より30円以上高く維持する必要があります。
未達成の場合は、補助金の返還義務が発生します。
④付加価値額要件
補助事業終了後3~5年の期間で、付加価値額(または従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する事業計画の策定が求められます。
⑤ワークライフバランス要件
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表することが求められます。
⑥金融機関要件
金融機関等から資金提供を受ける場合は、その金融機関等から事業計画の確認を受けていることが必要です。
⑦賃上げ特例要件
大幅賃上げ特例を適用して補助上限額の引き上げを受けるには、補助事業期間内に次の両方を達成する必要があります。
- 給与支給総額を年平均6.0%以上増加
- 事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げ
未達成の場合は、補助金の返還義務が発生します。
なお、中小企業新事業進出補助金の申請時には、以下の点には特に注意が必要です。
- すでに製造している商品の増産・増量のための設備更新等は「新規事業」の要件にあたらない
- 申請時に常時使用する従業員が0人の事業者は対象とならない
- 応募申請より前に契約(発注)した経費は対象とならない
- 申請はGビズIDプライムで行うため、アカウント未取得の場合は早めの準備が必要
- 賃上げ要件や事業場内最賃水準要件が未達の場合、補助金返還義務がある
また、本補助金の申請締切日を起点にして16カ月以内に、新事業進出補助金、事業再構築補助金、ものづくり補助金の補助金交付候補者として採択された事業者(採択を辞退した事業者を除く)、または申請締切日時点においてこれらの補助金の交付決定を受けて補助事業実施中の事業者は申請できません。
事業再構築補助金との違いも参考にご紹介
中小企業新事業進出補助金は、前身となる事業再構築補助金の後継制度として創設されました。
事業再構築補助金が「コロナ禍からの回復」を主眼としていたのに対し、新事業進出補助金はより成長志向の高い企業の挑戦を支援する制度として、前身の事業再構築補助金から要件や仕組みが変更されています。
2つの補助金の主な違いを以下にまとめました。
※2025年5月時点の情報です。最新の情報や詳細については公式サイトもご確認ください
中小企業新事業進出補助金 | 事業再構築補助金 | |
目的 | 企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦支援 | コロナ禍における事業の再構築支援 |
対象事業 | 新市場・高付加価値事業への進出 | 新分野展開、業態転換、業種転換等 |
成長要件 | 年平均成長率4.0%以上の増加 | 年平均成長率3.0~5.0% |
補助額の下限 | 750万円 | 100万円 |
なお、事業再構築補助金は新規応募申請受付が既に終了しており、今後新たに設備投資への補助金を検討されている企業は、この新事業進出補助金を活用することになります。
中小企業新事業進出補助金とは新事業展開の企業を後押しする補助金
中小企業新事業進出補助金とは、企業が新たな事業分野に挑戦する際の設備投資を支援する補助金制度です。
最大9,000万円という補助金を活用することで、新市場・高付加価値事業への進出にかかるコストを大幅に削減できます。
工場や倉庫の建設費用も対象となるため、新事業に必要な施設整備を効率的に進められるメリットがあります。
申請には7つの基本要件を満たす必要があり、賃上げ目標が未達成の場合には補助金返還義務が生じる点に注意が必要です。
補助金申請を検討される企業は、GビズIDプライムアカウントの取得や一般事業主行動計画の策定・公表など、事前準備を計画的に進めることをおすすめします。
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