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2023.05.20

倉庫の庇(ひさし)の建築面積が緩和!法改正の背景と内容を解説

荷下ろし

こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。

 

2023年4月1日に「建築基準法施行令の一部を改正する政令」が施行され、その中で倉庫の庇(ひさし)についての法律が改正されました。

これにより、倉庫の庇の建築面積が緩和され、倉庫業務のさらなる効率アップが期待されています。

 

今回のコラムでは、倉庫の庇の法改正について解説。

法改正の背景や具体的な変更内容、それによって物流倉庫へどんなメリットがあるかをご紹介します。

今後の物流倉庫の業務効率化にも大きく影響するものですので、ぜひチェックしてください。

 

ここに目次が入ります

倉庫の庇の建築面積が法改正により緩和!背景とは

2023年4月1日に施行された「建築基準法施行令の一部を改正する政令」で大規模庇に係る建築基準法施行令が改正され、倉庫の庇の建築面積が緩和されました。

ひと言で表すと、「物流倉庫で今よりも大きな庇を設置しやすくなった」ということです。

 

大規模庇に係る法改正の背景

建築基準法による建物へのさまざまな規制は、建物の安全性を担保し、人々の生命や財産を守るために定められています。

建築技術は日々進歩し、災害の発生状況も年々変わってきています。

このように建築物を取り巻く状況が変わるたび、その変化に対応するために建築基準法も改正を重ね、合理化や実効性の向上を図ってきました。

 

今回の大規模庇に係る法改正もその一つです。

 

昨今のEC市場の拡大により、物流需要や業務量は大幅に高まっています。

庇は、物流倉庫で商品をトラックへ積み下ろしする際に、商品を雨や紫外線から守るための設備。

大きなトラックが物流倉庫に乗り入れても商品が濡れないようにするには、高い位置に広い庇を設置する必要があります。

 

ただし、建築基準法では、庇の一定サイズを超える部分は建物の建築面積として算入することが規定されています。

建物の大きさは「建ぺい率」や「容積率」でその上限が決められています。

そのため、業務の効率化を図って大きな庇を付けると、その分倉庫の建物面積が確保できないというジレンマがあるのです。

 

今回の法改正の背景は、まさにこの部分。

法改正により今までよりも大きな庇を付けても、倉庫の建物面積を確保しやすくなることで、物流業務のさらなる効率化が期待されています。

 

倉庫や工場に庇(ひさし)は付けるべき?種類や延床面積との関係も解説!」では、倉庫の庇の必要性や種類などを詳しくご紹介しています。

法改正前の庇の建築面積算入基準についても解説していますので、旧新の比較としてもぜひご参考ください。

 

 

倉庫の庇に係る法改正の具体的な内容とは

物流倉庫

今回の法改正の中で、「物流倉庫等に設ける庇に係る建蔽率規制の合理化」がなされました。

物流倉庫などの庇について、建物の建ぺい率計算に含まない部分が増え、業務効率化のための大規模庇が設置しやすくなっています。

 

今までの法律では、突出部分が1m未満の庇は建築面積に算入しない、1m以上の庇は1m後退した部分を算入すると規定されていました。

これが法改正により、建築面積に算入しない庇部分が5mまでとなりました。

(※不算入となる庇の合計面積は建設可能面積の1割が上限)

 

今までは5mの庇を付けると、その分建物面積を減らして建ぺい率をクリアしなくてはいけなかったのですが、今後は5mまでは建物面積に影響が出ないということになります。

 

なお、この規定が適用されるのは「安全上、防火上及び衛生上支障がない軒等」です。

以下の一定の要件を満たす必要があります。

  • 庇の先端が敷地境界線から5m以上離れている
  • 敷地境界線を基準点として、庇の高さに応じた離隔距離(1:1)が確保されている
  • 庇部分は不燃材料でつくられている
  • 庇の上部に上階を設けない(非常用進入口、室外機置場などは可)

 

法改正前と比較すると、大規模庇を設置しても、倉庫面積を拡大・確保できる可

 

 

倉庫の庇の建築面積が緩和され、業務効率化に期待大!

庇は、トラックへ積み下ろし時に商品を雨風や紫外線から守る重要な設備です。

今までは、業務効率化のためであっても、大きな庇を付けると、建ぺい率の関係でその分倉庫部分の面積を確保できないといったジレンマがありました。

 

そんな中、昨今の物流需要の高まりなどを背景に、2023年4月1日施行の「建築基準法施行令の一部を改正する政令」により、「物流倉庫等に設ける庇に係る建蔽率規制の合理化」が実施。

倉庫の建築面積に算入される庇のサイズ規定が緩和され、今までよりも大きな庇が設置できるようになりました。

 

これまで庇の建築面積不算入部分は1mまでだったものが5mまでと緩和され、大きな庇を付けても倉庫面積を確保しやすくなりました。

これにより物流業務のさらなる効率化が期待されています。

 

戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。

倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

久保 大輔設計部 部長

某設計事務所にて設計監理業務に従事し、現在は内池建設にて倉庫建築をはじめ様々な建築設計に取り組んでいる毎日です。建築を楽しみながら、安心で快適、使いやすく、みんなに愛される建築を提供していきたいと思います。

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