ここに目次が入ります
2025.06.28
工場の地方移転のメリット・デメリットと移転先の選び方
こんにちは!北海道〜東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
近年、人手不足やコスト高騰の影響で、工場の地方移転を検討する企業が増加しています。
地方移転には魅力的なメリットがある反面、検討すべき課題もあります。
今回は、工場の地方移転を検討されている企業様に向けて、移転のメリット・デメリットや移転先選定の考え方をご紹介します。
工場の地方移転に関する疑問や不安を解消し、成功に向けた判断材料をご提供できれば幸いです。
工場の地方移転は増加傾向!メリットや課題点は?
工場の地方移転が増加している背景には、人手不足の深刻化があります。
大都市圏では製造業における労働力確保が年々困難になっている上、人件費も上昇の一途をたどっています。
労働人口の減少は全国的な課題ではありますが、地方は相対的に人件費が安く、競合企業が少ないことから人材を確保しやすいという側面があります。
また、大都市圏では地価や賃料が高騰し、工場運営の固定費が経営の大きな負担となっていますが、地方ではこれらのコストを大幅に抑えることが可能です。
リモートワークが普及し、大都市圏に拠点を置く必要性が薄れたことなども追い風となり、地方移転を検討する企業が増加しているのです。
工場の地方移転の主なメリット
工場の地方移転には、以下のようなメリットがあります。
コスト削減効果
地方では土地価格や賃料が大都市圏の半分以下になることも珍しくなく、総合的なコストの削減が見込めます。
人件費も地方のほうが安い傾向にあり、多くの従業員を抱える工場であれば、大幅なコスト削減が可能になります。
用地確保の容易さ
地方では工場建設に適した広大な土地を確保しやすく、将来的な拡張計画も立てやすいです。
大都市圏では用地不足により希望する規模の工場建設が困難な場合でも、地方なら理想的な立地と規模で工場を建設できる可能性が高まります。
労働環境の改善
地方移転により従業員の通勤時間が短縮されれば、ワークライフバランスの向上につながります。
満員電車や交通渋滞から解放されることで従業員のストレス軽減にもなり、生産性向上も期待できるでしょう。
地方移転の課題点
一方で、地方移転には以下のような課題点も存在します。
物流・交通アクセスの課題
地方は大都市圏と比較して交通インフラが整備されていない場合があり、原材料の調達や製品の出荷において物流コストが増加する可能性があります。
インフラ整備の格差
地域によってはIT環境や通信インフラが十分に整備されていない場合があり、最新の製造技術や情報システムの活用に支障をきたす可能性があります。
人材確保の困難さ
地方では専門性の高い技術者や管理職クラスの人材確保が困難な場合があります。
また、移転に同意しない従業員が離職するリスクがあることも頭に入れておきましょう。
工場の地方移転をする場合、移転先の選び方は?
地方移転を成功させるためには、移転先の選定が極めて重要です。
移転先を選ぶ際は、事業継続性や運営の安定性、将来の成長性を確保するために押さえるべきポイントがあります。
移転先の選び方
工場の移転先を選定する際は、以下のような複数の観点から総合的に検討する必要があります。
交通アクセス・物流利便性
高速道路のインターチェンジや港湾、空港へのアクセスを確認する必要があります。
原材料の調達ルートや製品の出荷先を考慮し、物流コストが最適化できる立地を選びましょう。
地価・賃料・インフラコスト
土地取得費用や賃料だけでなく、電気・ガス・水道などのインフラコストも比較検討が必要です。
工場運営には大量の電力や水が必要になるため、これらの供給体制と価格も重要なポイントです。
事業・製品との相性
製造する製品の特性と地域特性の適合性を評価する必要があります。
例えば、食品製造業であれば原材料の産地との近さ、精密機器製造業であれば環境の安定性などが重要な要素となります。
雇用環境・人材確保
地域の労働市場と求める人材のマッチング度を確認しましょう。
近隣に工業団地や類似業種の企業があれば、経験豊富な人材を確保しやすくなります。
災害リスク
地震、台風、洪水などの自然災害リスクを評価し、BCP(事業継続計画)の観点から適切な立地を選定しましょう。
補助金・税制優遇の充実度
国や自治体が提供する各種支援制度を確認しましょう。
移転費用の削減や運営コストの軽減につながる制度が充実している地域を選ぶことで、移転効果をさらに高めることができます。
工場の立地条件や移転プロセスについて詳しく知りたい方は、以下のコラムもご覧ください。
工場・倉庫の移転について全解説!移転前の準備や注意点もご紹介
工場の地方移転先には北海道もおすすめ
北海道は、全国と比較して地価・賃料が安く、工場建設に必要な広大な用地を確保しやすい環境にあります。
交通面では、新千歳空港をはじめとする航空網、苫小牧港などの港湾設備、高速道路網など、物流に必要なインフラが充実している点も大きなメリットです。
また、北海道は台風の直撃が少なく、地震の発生頻度も本州と比較して低い傾向にあるため、自然災害のリスクを抑えて安定した生産活動を継続できます。
冷涼な気候により冷房負荷が軽減できることから、特に温度管理が重要な物を扱う場合には品質管理とコスト削減の両面でメリットがあります。
さらに、風力、太陽光、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーが豊富で、環境配慮型の工場設計がしやすく、ESG経営への取り組みを推進しやすい環境も整っています。
このような理由から、北海道は工場の地方移転先として魅力的な選択肢といえるでしょう。
北海道内でも特に千歳市や苫小牧市をご検討の場合は、こちらのコラムもぜひご覧ください。
各地域の詳細な情報をご紹介しています。
工場建設は千歳が人気!千歳の魅力や主な工業団地、戦略倉庫の実績も
工場・倉庫建設は苫小牧で!苫小牧の魅力や主な工業団地、戦略倉庫の実績も
工場の地方移転時に活用できる税制優遇制度もご紹介
工場を地方移転する場合は、ぜひ国や自治体が提供する各種支援制度の活用も検討しましょう。
代表的な税制優遇制度をご紹介します。
※2025年6月時点の情報です。
最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
地方拠点強化税制
地方拠点強化税制は、東京一極集中の是正と地方創生を目的として創設された制度です。
企業が本社機能を東京23区から地方に移転したり、地方の本社機能を拡充したりする場合に、税制優遇措置を受けることができます。
対象施設は事務所、研究所、研修所で、工場は原則対象外ですが、本社機能と併設する場合は一部対象となる可能性があります。
「移転型事業」(東京23区から地方への移転)と「拡充型事業」(地方における本社機能の拡充)の2つのタイプがあり、移転型事業のほうがより手厚い優遇措置が受けられます。
主な優遇措置として、建物等の取得に対する特別償却・税額控除(オフィス減税)と、雇用者増加数に応じた税額控除(雇用促進税制)があります。
そのほかの活用可能な税制優遇
地方への移転に限りませんが、工場の移転時に活用できる制度もあります。
事業用資産の買い換え特例
工場移転に伴う土地・建物の買い換えをした際に出た譲渡益の課税を繰り延べできます。
中小企業経営強化税制
生産性向上に資する設備投資について、特別償却または税額控除が適用されます。
北海道の支援制度もご紹介
移転先として北海道をおすすめしましたが、自治体ごとにもさまざまな支援制度が実施されています。
参考に北海道・札幌市の独自の支援制度もご紹介します。
先端設備等導入計画に係る固定資産税の軽減措置
自治体の導入促進基本計画に適合する先端設備等について、固定資産税が軽減されます。
地域未来投資促進税制
地域の特性を生かした成長性の高い分野への投資について、税制優遇措置が受けられます。
札幌市本社・本社機能移転促進補助金
道外から札幌市内への本社または本社機能移転に対して、最大2億円の賃料補助が受けられます。
札幌圏設備投資促進補助金
製造業、情報通信業、運輸業などの工場や研究施設の設備投資に対して、最大10億円の補助が受けられます。
北海道産業振興条例による支援
道内に工場等を新設・増設する事業者や本社機能移転をする事業者に対して、予算の範囲内で補助金を交付します。
工場の地方移転で持続可能な経営基盤を構築!
人手不足やコスト高騰といった課題に直面する現代において、工場の地方移転は検討の価値がある解決策の一つとなります。
移転を成功させるためには、交通アクセス、コスト、雇用環境、災害リスク、補助金制度など多角的な視点から移転先を選定することが重要です。
また、地方拠点強化税制をはじめとする各種支援制度を積極的に活用することで、移転に伴う初期投資を軽減できます。
特に北海道は地価・賃料の安さ、用地確保のしやすさ、災害リスクの低さなど、地方移転先として多くの魅力を備えています。
工場や本社・本社機能の地方移転は、地方拠点強化税制をはじめとした手厚い支援制度も充実しており、移転に伴う初期投資の軽減の可能性も期待できます。
倉庫・工場建築を行っている戦略倉庫は、北海道・東北・関東エリアといった東日本を中心に展開しており、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案しています。
低コストで高品質な倉庫・工場を短納期で建築可能です。
倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!