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2023.03.25

土壌汚染対策法とは?倉庫や工場の建築制限を解説

土壌汚染調査

こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。

土壌汚染対策法の対象となる地域には一定の建築制限があり、倉庫や工場などを建てる際には届出や土壌改良工事などが必要となることがあります。

 

問題のない土地と思っていても、調査をすると土壌汚染が判明することもあるため、土壌汚染対策法や関連する手続きについて知識を付けておくと安心です。

 

そこで今回のコラムでは、土壌汚染対策法について分かりやすく解説します。

土壌汚染対策法の概要や目的、土壌汚染がある土地を活用する際の建築制限や必要な手続きなどをご紹介します。

 

ここに目次が入ります

土壌汚染対策法とは? 概要や目的を解説

そもそも土壌汚染とは、法令で規制される一定基準値以上の特定有害物質が地表や地中に存在していて、それを除去しなくては土地の活用ができない状態のことを指します。

 

そして、土壌汚染対策法とは、土壌汚染の可能性がある土地に対して土壌汚染状況調査を義務付け、必要な対策を行うことを定めた法律です。

 

2003年に定められた法律で、土対法(どたいほう)と略されることもあります。

特定有害物質による土壌汚染の状況を確認・把握、そして対策し、人への健康被害や環境への悪影響を防止するのが目的です。

 

具体的な特定有害物質は、土壌汚染対策法施行規則でその種類と基準値(土壌含有量、土壌土壌溶出量)が定められています。

 

対象となる特定有害物質は次の通りです。

 

【特定有害物質】

揮発性有機化合物

  • 四塩化炭素
  • 1,2-ジクロロエタン
  • 1,1-ジクロロエチレン
  • シス-1,2-ジクロロエチレン
  • 1,3-ジクロロプロペン
  • ジクロロメタン
  • テトラクロロエチレン
  • 1,1,1-トリクロロエタン
  • 1,1,2-トリクロロエタン
  • トリクロロエチレン
  • ベンゼン
  • クロロエチレン

 

貴金属等

  • カドミウム及びその化合物
  • 六価クロム化合物
  • シアン化合物
  • 水銀及びその化合物
  • セレン及びその化合物
  • 鉛及びその化合物
  • 砒素及びその化合物
  • ふっ素及びその化合物
  • ほう素及びその化合物

 

農薬等

  • シマジン
  • チウラム
  • チオベンカルブ
  • PCB
  • 有機りん化合物

 

土壌汚染状況調査を行うケース

土壌汚染対策法では、全ての土地に対して必ず土壌汚染状況調査を求めているわけではありません。

土壌汚染対策法に基づいて調査を行うのは、主に以下の4つのケースです。

 

【1】有害物質使用特定施設を廃止する場合

有害物質を扱う施設を廃止する際には、その土地について土壌汚染状況調査を行い、結果を都道府県知事へ報告する義務があります。

 

【2】3,000㎡以上の土地を活用する場合

3,000㎡以上の土地を採掘したり建物を建てたりする場合には、都道府県知事へ届出をしなくてはいけません。

土壌汚染の可能性があると判断されれば都道府県知事から調査が命じられます。

 

【3】土壌汚染で健康被害の可能性が高い土地と判断された場合

都道府県知事が、土壌汚染により健康被害の可能性が高いと判断した場合、土地の持ち主に対して土壌汚染状況調査を命じることがあります。

 

【4】土地の持ち主による自主検査

法律による対象ではなくても、土地の持ち主が自主的に検査することも可能です。

 

 

土壌汚染の土地に倉庫や工場を建築したい!建築制限はある?

土壌汚染状況調査により土壌汚染が判明すると、土壌汚染対策法による規制区域となり、土地の活用時には一定の建築制限がかけられます。

規制区域の種類は、健康被害の可能性とその対策の有無で「要措置区域」と「形質変更時要届出区域」の2種類に分かれます。

 

要措置区域

土壌汚染により健康被害の可能性があると判断された区域。

土地の採掘や建物の建設は禁止です。

土壌改良工事などで汚染を除去すれば用措置区域の指定が解除され、土地の活用が可能となります。

 

形質変更届出区域

土壌汚染はあるものの、健康被害の可能性はないと判断された区域。

土地の採掘や建物の建設などを行う際には、事前に都道府県知事へ届出が必要です。

届出をすれば土地の活用が可能です。

 

土壌汚染対策法による規制区域に倉庫や工場を建てようと思ったら、事前の届出や土壌改良工事などが必要となり、手間や費用がかかってしまいます。

事業用地を探す際には、できるだけそのような心配の少ない土地を探しましょう。

 

事業用地を探す際のポイントや確認点などは「倉庫・工場の事業用地の探し方を解説!事前の確認点や絞り方とは」でも解説していますので、あわせてご覧ください。

 

 

土壌汚染対策法に基づく工事で、必要な手続きの流れ

土壌汚染対策法第4条第1項、土壌汚染対策法施行規則第22条によると、3,000㎡以上の土地の形質変更(工事)を行う場合、都道府県知事への届出が必要です。

このケースを例に、このあとの届出や手続きの流れをご紹介します。

 

【1】工事着工の30日前までに都道府県知事へ届出

都道府県知事が土壌汚染状況の必要性を判断し、必要であれば調査を命令します。

 

【2】環境大臣等の指定を受けた指定調査機関に委託して、土壌汚染状況調査を実施

特定有害物質が基準に適合していれば、問題なく工事を進めます。

基準に不適合の場合は、健康被害の有無などにより「要措置区域」「形質変更時要届出区域」のどちらかに指定されます。

 

【3-1】要措置区域に指定された場合

土地の活用をするためには、土壌改良工事などで汚染を除去する必要があります。

 

【3-2】形質変更時要届出区域に指定された場合

都道府県知事へ届出をすることで、土地の形質変更が可能です。

土地の形質変更とは、地盤改良や採掘、盛土、舗装の敷設・撤去、杭・鋼矢板の打設などで、土地を活用するための工事はほぼ該当します。

 

 

土壌汚染のある土地の建築制限を確認! 倉庫や工場の建築時は注意を

土壌汚染やそれによる健康被害の恐れがある土地については、土壌汚染対策法で調査や対策が定められています。

調査により土壌汚染が判明した場合は、健康被害の有無などから「要措置区域」「形質変更時要届出区域」のどちらかに指定されます。

 

規定区域に倉庫や工場を建てたい場合、形質変更時要届出区域では事前に都道府県知事へ届出が必要です。

要措置区域はそのままでは活用ができず、土壌改良工事などで汚染を除去する必要があるので注意しましょう。

 

戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。

倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

久保 大輔設計部 部長

某設計事務所にて設計監理業務に従事し、現在は内池建設にて倉庫建築をはじめ様々な建築設計に取り組んでいる毎日です。建築を楽しみながら、安心で快適、使いやすく、みんなに愛される建築を提供していきたいと思います。

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