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2025.01.26
危険物倉庫に必要な消火設備を解説!設置の基準も重要
こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
火災や爆発のリスクが高い危険物を取り扱う危険物倉庫では、法律によって消火設備の設置が厳しく義務付けられています。
そのため、危険物倉庫の建設では、消火設備の設置基準について知っておく必要があります。
今回のコラムは、危険物倉庫に必要な消火設備について解説!
危険物倉庫に求められる消火設備の種類や、その設置基準の基本をご紹介します。
消火設備の重要性と危険物倉庫に必要な種類を解説
住居や事務所、工場など、人が生活・活動する建物には、安全確保のため消火設備の設置が定められています。
火災が起きたときに速やかに消火して被害を広げず、命や財産を守るのが目的です。
特に危険物倉庫は、爆発や火災のリスクが非常に高い環境です。
可燃性の物質や消火しにくい物質などを扱っているため、小さな出火が大規模な災害へと発展する可能性があります。
そのため、消防法第10条や危険物の規制に関する規則などの法律で、危険物倉庫に対して厳格な消火設備の設置を義務付けています。
危険物倉庫に設置する消火設備は、危険物の特性に合わせて以下の第1種から第5種までに区分されています。
<第1種消火設備>
- 屋内消火栓
- 屋外消火栓
<第2種消火設備>
- スプリンクラー設備
<第3種消火設備>
- 水蒸気消火設備
- 水噴霧消火設備
- 泡消火設備
- 不活性ガス消火設備
- ハロゲン化物消火設備
- 粉末消火設備
<第4種消火設備>
- 大型消火器
<第5種消火設備>
- 小型消火設備
- 簡易消火用具
危険物倉庫に必要な消火設備の考え方や参考例をご紹介
危険物倉庫に必要となる消火設備は、倉庫の広さや危険物の種類・量などで異なります。
著しく消火困難な屋内貯蔵所の例を参考に、必要な消火設備の基準を確認してみましょう。
①軒高6m以上の平屋建て
②建築物の一部の設ける屋内貯蔵所(令10条に該当するもの)
※第2類または第4類危険のみを貯蔵するものを除く
<設置する消火設備>
- 第2種または移動式以外の第3種消火設備
- 第4種および第5種消火設備
③指定数量の150倍以上の危険物を扱い、延べ床面積が150㎡超
<設置する消火設備>
- 第1種の屋外消火栓設備、第2種、第3種の移動式泡消火設備または、移動式以外の第3種消火設備
- 第4種および第5種消火設備
指定数量とは、危険物の取り扱いについての基準となる数量のことです。
こちらのコラムでも指定数量や危険物倉庫について詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
危険物倉庫に必要な消火設備の設置基準
消火設備の区分ごとに、主な設置基準をご紹介します。
消火能力を最大限発揮するためにも、設置基準の遵守は大切です。
なお、消火設備は対象物、消火設備により設置基準が変わるので、距離に関する具体的な数字については建築する際に依頼先へ確認しましょう。
第1種消火設備
屋内消火栓は階ごとに設けます。
各部分からホース接続口までの水平距離も定められています。
また、屋外消火栓も防護対象物の各部分からホース接続口までの水平距離が定められているので確認しましょう。
第2種消火設備
防護対象物からスプリンクラーのヘッドまでの水平距離が定められています。
第3種消火設備
放射能力範囲に応じ、有効に消火ができる位置にそれぞれ設置します。
第4種消火設備
各階ごとに、防護対象物の各部分からの歩行距離が定められています。
第1種、第2種、第3種消火設備と併用する場合はこの限りではありません。
第5種消火設備
消火能力に応じ、有効に消火できる位置に設置します。
消化器の設置基準もご紹介
消火器の設置では、必要な「能力単位」が足りるように消火器を設置します。
能力単位とは、消火器の消火性能を数値化したものです。
危険物倉庫の種類や耐火構造の有無、延べ床面積などによって消火器に求められる能力単位は異なります。
例えば、屋内貯蔵所で外壁が耐火構造の場合、延べ床面積150㎡に対して、1能力単位が必要となるため、危険物倉庫の延べ床面積が1,500㎡の場合は、能力単位1の消火器を10本設置することになります。
なお、以下のような決まりもあり、ほかの消火設備と組み合わせることで消火器に必要な能力単位を減少させることもできます。
【著しく消火困難な危険物貯蔵所の場合】
- 第4類の危険物を取り扱う貯蔵所では第5種の消火設備を2個以上設けること
【消火困難な危険物貯蔵所の場合】
- 第4種の消火設備がその放射能力範囲が建築物そのほかの工作物および危険物(第3種の消火設備により包含されるもの除く)を包含するように設け、第5種消火設備を能力単位≧1/5 危険物の所要単位で設置すること
- 共通1種、2種または3種の消火設備が設置されていれば、その有効範囲部分の第4種消火設備が省略される
このほか、火災や爆発の危険が大きい危険物倉庫では、爆発やそれによる火災を防ぐ防爆対策や、爆発時の被害を最小限に抑える放爆対策などさまざまな対策が求められます。
以下のコラムでは危険物倉庫の放爆仕様について解説していますので、ぜひご覧ください。
危険物倉庫の放爆仕様(放爆構造)とは?必要な火災・防爆対策を解説!
危険物倉庫に必要な消火設備と基準を解説
火災や爆発のリスクが高い危険物倉庫では、消防法や規則に基づく消火設備の設置が義務付けられています。
危険物倉庫に必要な消火設備は第1種~第5種に区分され、消火栓やスプリンクラー、水蒸気消火設備、消火器などの種類があります。
倉庫の構造や取り扱う危険物の種類に応じて適切な設備を選定し、設置基準に基づく設置が定められています。
そのほか防爆・放爆対策なども組み合わせることで、安全な倉庫を設計・運営できます。
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