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2025.03.18
ガソリン・軽油などの危険物の取り扱いの基準は?注意点も確認!
こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
ガソリンや軽油は私たちの生活や経済活動に欠かせない燃料ですが、消防法で指定されている「危険物」でもあります。
企業で大量のガソリンや軽油を取り扱う際には、その性質や保管方法、法令で定められた基準を正しく理解することが大切です。
今回は、ガソリンと軽油の危険物としての分類や危険性、取り扱いの基準、安全な保管方法について詳しく解説します。
ガソリンや軽油を安全に取り扱うための知識を深め、事故防止に役立てていただければ幸いです。
ガソリン・軽油は第4類の危険物!
消防法で指定される危険物は、性質ごとに6類に分類され、また、その危険性ごとに3等級に区分されています。
ガソリンと軽油は、ともに「第4類 引火性液体」に分類されており、火種によって容易に引火する特徴があります。
危険等級はガソリンが危険等級2、軽油は危険等級3です。
第4類危険物の種類と分類
第4類危険物は、特徴によってさらに細かく7種類に区分されています。
- 特殊引火物:発火点100℃以下、または引火点-20℃以下で沸点40℃以下のもの
- 第一石油類:引火点21℃未満のもの
- アルコール類:メタノールやエタノールなど炭素数1~3の飽和1価アルコール
- 第二石油類:引火点21℃以上70℃未満のもの
- 第三石油類:引火点70℃以上200℃未満のもの
- 第四石油類:引火点200℃以上250℃未満のもの
- 動植物油類:動植物油類は引火点が250℃未満の動植物由来の油脂
ガソリンは「第一石油類」、軽油は「第二石油類」と、異なる区分に属します。
第一石油類に区分されるガソリンの引火点は-40℃以下と非常に低く、常温でも容易に引火する危険性があります。
一方、第二石油類に区分される軽油の引火点は45℃以上で、ガソリンと比較すると引火しにくい性質を持っています。
ガソリンと軽油の危険等級について
危険物は危険性の程度に応じて危険等級1から3に区分されます。
これは火災発生時の危険性の度合いによるもので、数字が小さいほど危険性が高いことを意味します。
ガソリンは危険等級2、軽油は危険等級3に指定されています。
危険物の分類や危険等級は、危険物の貯蔵や取り扱いの基準を定める際の重要な要素です。
危険物倉庫を建設する際には、取り扱う危険物の種類や等級に応じた基準を満たす必要があります。
危険物倉庫の基準については、こちらのコラムでも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
危険物倉庫とは?消防法で定められた建設をする際の基準もご紹介
危険物倉庫の放爆仕様(放爆構造)とは?必要な火災・防爆対策を解説!
ガソリン・軽油の性質や取り扱いの基準は?
ガソリン・軽油を安全に取り扱うためにも、詳細な特徴や消防法による基準を理解しておきましょう。
第4類危険物の共通の性質
ガソリン・軽油が属する第4類の危険物は、蒸気比重が空気より大きいため、可燃性蒸気が底部に滞留しやすいという性質があります。
そのため、危険物倉庫では低所に滞留する蒸気を屋外の高所に排出するような換気設備が必要です。
危険物倉庫に必要な換気設備については、「危険物倉庫の換気設備の基準をわかりやすく解説!」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
また、液体比重は水よりも小さく、水に浮く性質があります。
水をかけて消火しようとすると、燃えた状態で水面に広がりかえって火災が拡大する恐れがあるため、第4類の火災には放水は適しません。
消火の際には泡消火剤、二酸化炭素消火剤、粉末消火剤などを用いる窒息消火と抑制消火が効果的です。
第4類危険物を扱う危険物倉庫で火災を防ぐには、これらの特徴を理解し、危険物と火種が接触しないようにする必要があるでしょう。
ガソリン・軽油の指定数量の基準
消防法では、危険物ごとに「指定数量」が定められています。
指定数量以上の危険物を取り扱う場合は、消防法による規制を受け、許可を受けた危険物施設での取り扱いが必要となります。
ガソリンの指定数量は200L、軽油は1,000Lです。
指定数量を超える危険物の取り扱いには、危険物取扱者の資格が必要です。
危険物取扱者には甲種、乙種、丙種があり、それぞれ取り扱える危険物の範囲が異なります。
また、同一場所で複数の危険物を取り扱う場合は、「指定数量の倍数」という概念で、取扱量を計算します。
指定数量の詳細や、複数の危険物の指定数量の倍数の計算方法については、「危険物倉庫の指定数量とは?消防法と建てる際の注意点も解説」で詳しく解説しています。
表示と標識の規定
危険物の製造所や貯蔵所には、白地に黒文字で「危険物製造所」「危険物貯蔵所」といった標識や、「危険物の類別、品名、最大数量、指定数量の倍数、保安監督者名または職名」を表示した標識の設置が求められます。
また、ガソリン・軽油が属する第4類の危険物については、赤地に白文字で「火気厳禁」の標識を掲示しなければなりません。
貯蔵・運搬時の規定
指定数量以上の危険物は、許可を受けた貯蔵所以外での保管が禁止されています。
運搬には消防法に適合した容器の使用が義務付けられており、特にガソリンは金属製の密閉容器で運搬しなければなりません。
灯油用のポリエチレン容器にガソリンや軽油を入れることは法律で禁止されています。
なお、指定数量以下であってもガソリンを乗用車で運搬する場合は、容器の最大容積は22Lまでに制限されていますので、ご注意してください。
ガソリンは特に取り扱いに注意!危険性も確認
ガソリンの最大の特徴は、引火点が-40℃以下と非常に低いことです。
そのため、常温など通常の環境下でも容易に引火する可能性があります。
また、揮発性が高く、流動時に静電気を発生させやすいという特徴もあり、この静電気によっても引火する可能性もあります。
このような危険性を踏まえた上で、ガソリンの取り扱いでは以下の点を心がけましょう。
- 保管場所の通風と換気を十分に行う
- 敷地内での火気の使用を厳禁とする
- 消防法に適合した金属製の容器を使用し、必ず密栓する
- 静電気対策として容器の接地(アースの取り付け)などの対策を行う
ガソリン・軽油の取り扱いには正しい知識と注意が必要
ガソリンと軽油は身近な物質ではありますが、どちらも第4類の危険物に分類され、取り扱いには十分な注意が必要です。
ガソリンは第一石油類(指定数量200リットル)で危険等級2、軽油は第二石油類(指定数量1,000リットル)で危険等級3に指定されており、それぞれの性質に応じた適切な保管と取り扱いが求められます。
安全に取り扱うためには、消防法令に適合した容器の使用、適切な保管場所の確保、火気の管理など基本的な注意事項を守ることが重要です。
危険物に対する正しい知識を持ち、適切な対策を講じることで、事故を未然に防いで安全な事業活動が実現できます。
戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。
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