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2025.04.18
危険物倉庫の静電気対策が重要!発火リスクを防ぐポイントを徹底解説
こんにちは!北海道〜東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
静電気は日常生活でもよく起こる現象ですが、危険物倉庫においては火災や爆発の原因となる恐れがあり、適切な対策が欠かせません。
今回は、危険物倉庫における静電気の危険性と効果的な静電気対策について詳しく解説します。
危険物倉庫における静電気の正しい知識と対策方法を理解し、より安全な倉庫運営のためのヒントを得ていただければ幸いです。
静電気とは?静電気が及ぼす危険物倉庫への危険性
静電気とは、物質の表面が帯電している状態、またはその電気(電荷)のことを指します。
物質同士の接触や剥離による摩擦や、接触時の電子の移動によって発生します。
日常生活でも、例えば乾燥した冬場にドアノブを触ったときに「バチッ」と感じることがありますよね。
軽い痛みを感じる程度のこの小さな放電が、危険物倉庫では重大な事故につながる可能性があるのです。
危険物倉庫で静電気が特に危険な理由は、主に次の2点です。
火災の発生リスク
静電気による放電で小さな火花が発生することがあり、引火性の高い危険物にこの火花が引火して火災になる可能性があります。
特に、第一石油類や第二石油類など引火点の低い危険物を扱う場所では、わずかな放電でも重大な火災につながることがあります。
爆発のリスク
可燃性のガス、液体、粉体などの危険物を取り扱っている環境では、小さな火花によって起こった火災が、爆発を引き起こすケースが見られます。
中でも粉体は特性上、発火しやすさと除電の難しさを併せ持つため、取り扱いには特別な注意が必要となります。
静電気による事故事例
静電気が原因となる工場・事業場での火災は年間約100件にも上るといわれます。
過去に発生した主な事故例には以下のようなものがあります。
- ポリエチレン製携行缶での静電気によるガソリン引火事故
- 油送管での静電気起因の爆発
- LPG(液化石油ガス)タンク車での静電気による火災
- アルミ粉塵の静電気による爆発
静電気は危険物施設において重大な事故の引き金になりうるのです。
発生しやすい条件と危険物倉庫の静電気対策を解説!
危険物倉庫を安全に運営するためには、静電気が発生しやすい条件を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
静電気が発生しやすい環境には、主に以下のようなものがあります。
- 湿度が低い
- 気温が低い
- 絶縁性の高い素材の使用
- 液体の流動速度が速い
温度が低く、乾燥した環境では静電気の発生率が高まります。
湿度が高い状態では空気中の水分を通して静電気が自然と放電されますが、乾燥した状況ではそれがないためです。
気温が低いと空気中の水分量が減少して湿度が下がり、静電気を蓄積しやすい状況が進んでしまいます。
一般的には湿度20%以下、温度20℃以下の環境で注意が必要です。
また、プラスチックやゴムなどの電気抵抗が大きい物質、石油製品などの電気絶縁性が高い物質は静電気を蓄積しやすい特性があります。
さらに、液体を高速で流動させることも静電気発生の要因の一つとなります。
危険物倉庫の効果的な静電気対策
危険物倉庫における静電気の発生を防ぎ、安全を確保するためには、複数の対策を組み合わせることが重要です。
以下に主な対策方法を紹介します。
アース(接地)の設置
アースは導体から地面へ電気的な経路を確保し、地面へ静電気を逃がす対策です。
危険物を取り扱う設備や金属製のドラム缶、タンクなどには必ず適切なアースを施すことが求められます。
比較的容易に設置できますが、ガラスやゴムなどの絶縁体には効果が期待できないため、その場合は別の対策と組み合わせて実施する必要があります。
除電装置の導入
静電気を除去する専用の除電装置(イオナイザ)を導入するという方法もあります。
このシステムは、空気を電離してイオンを生成し、帯電物質に接触させることで電荷を中和し、静電気を除去します。
プラスとマイナス両方のイオンを発生できるため、どのような帯電状態の物質にも対応可能です。
湿度管理
室内の湿度を適切に保つと、空気中の水分が静電気の放電経路となり帯電を防ぐことができます。
静電気対策として特別な設備投資をしなくても、倉庫全体の静電気発生を抑えられる方法です。
冬場など乾燥する時期には、加湿器の設置や空調で湿度調整を行いましょう。
導電性の確保
危険物倉庫内では導電性のある床材や作業台を使用することで、人体や物品に蓄積された静電気を効率的に逃がすことができます。
また、作業者は静電気防止靴や導電性の作業服を着用することで、人体への静電気蓄積を防げます。
作業手順の標準化
危険物取扱いの作業手順で静電気対策を標準化し、全従業員への教育・訓練を行うことも重要です。
次のような取り組みが推奨されます。
- 引火性液体の取扱い時は流速を制限する(充填開始時は1m/s以下が目安)
- 作業開始前に接地された金属に触れてから、人体の静電気を放電する
- 取扱いエリアでの火気使用を完全に禁止する など
静電気対策は、危険物倉庫での安全対策の一部です。
危険物倉庫の建築や運用における総合的な安全対策や設備については、以下のコラムもぜひ参考にしてください。
危険物倉庫とは?消防法で定められた建設をする際の基準もご紹介
危険物倉庫の放爆仕様(放爆構造)とは?必要な火災・防爆対策を解説!
危険物倉庫の静電気対策で安全な保管環境を実現しよう
危険物倉庫での静電気対策は、火災や爆発などの重大事故を防ぐために欠かせません。
静電気は物質の摩擦や接触などにより発生し、小さな火花でも危険物に引火する可能性があります。
特に危険物倉庫では低湿度・低温環境や、絶縁性の高い素材を使用する場合に、発生リスクが高まります。
効果的な危険物倉庫の静電気対策としては、適切なアースの設置、専用の除電装置の導入、適切な室内湿度の管理、導電性のある床材や作業台の使用などが挙げられます。
また、作業者は静電気防止靴や導電性作業服の着用、標準化された作業手順の遵守などに取り組むことが重要です。
戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。
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