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2021.12.15

物流総合効率化法とはどんな法律?支援対象となる事業やメリットも確認

こんにちは!北海道〜東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。

 

人手不足や環境への負荷が問題となっている流通業界。

流通業界が抱えるこれらの問題を解決し、日本の国際競争力を強化するために、政府によって打ち出されたのが「物流総合効率化法」です。

 

物流総合効率化法は、他の事業者との連携によって、「流通業務の一体化」や「物流の効率化」を図る事業に対し、政府が認定や支援を行うというもの。

 

支援対象になると、物流施設の開発で優遇されたり、経費の一部が補助されたりするなど、様々なメリットがありますよ。

 

今回は「物流総合効率化法」について、制度の概要や認定を受けるメリット、支援対象となる事業や認定までの流れを解説していきます。

物流総合効率化法

ここに目次が入ります

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「物流総合効率化法」とはどんな法律?認定を取得するメリットも

まずは物流総合効率化法の概要と目的、認定を受けるメリットについて、確認していきましょう。

 

物流総合効率化法とはどんな法律?

物流総合効率化法とは、流通業務の省力化と物流の効率化を推進するために、流通の一体化や効率化につながる事業を、政府が支援するための法律です。

 

正式名称を「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」と言い、2005年に施行され、2008年と2020年に法改正が行われました。

 

物流総合効率化法では、流通業務の省力化と物流の効率化が見込める事業を「総合効率化計画」に認定し、経費の一部補助や、事業運営に関わる許可・規制での優遇を行います。

 

「総合効率化計画」の認定を受けるには、事業計画を記載した申請書などを地方運輸局へ提出することが必要です。

その際に提出する事業計画は、事業者や事業内容に関する様々な要件を満たしていることが求められます。

 

物流総合効率化法の目的とは?

物流業界では、労働条件などの課題も多く人手不足になりがちです。

 

一方で、荷主や消費者の「必要なものを必要な時に、必要な分だけ欲しい」というニーズはどんどん高まっています。

そのニーズに応えようとすると、輸送の頻度は増えるにも関わらず一度に運ぶ貨物の量は少なくなり、輸送の多頻度化・小口化が進むことに。

 

しかし、それを実施するための労働力が不足しているというのが現状です。

 

また、地球環境問題への対策が求められる今、物流業界でも環境への負荷を減らす取り組みが必要ですが、輸送の回数を増やすと、輸送トラックからのCO2排出などに伴い、環境に大きな負荷がかかります。

 

人手不足解消と環境負荷の低減を目指すためには、流通業務における無駄をなくし、より少ない労働力で物流事業を行っていくことが求められます。

そこで、政府は「物流総合効率化法」で事業者を支援し、流通業務の省力化と物流の効率化を推し進めているのです。

 

物流総合効率化法には、流通業務の省力化と物流の効率化の促進によって、日本の国際競争力を強化する狙いもあるのです。

 

物流総合効率化法の認定を受けるメリットをチェック

物流総合効率化法の認定を受けるメリットは次の3つです。

  • 事業の立ち上げ・実施時に、経費の補助や許可制度の優遇が受けられる
  • 事業に必要な施設・設備に対して、減税や開発許可の配慮がなされる
  • 信用保険制度や貸付制度での優遇(中小企業のみ)や独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの貸付といった、金融支援が受けられる

 

特に、新しく物流施設を建設したり購入したりする場合は、要件を満たすことで施設が「特定流通業務施設」に認定され、次の2つの支援が受けられます。

  • 開発許可に関する配慮
  • 物流拠点施設に関する税制特例

市街化調整区域に物流施設を建てる際は、都市計画法や建築基準法に従って開発許可を得る必要があります。

支援対象になると、開発許可の申請時に配慮されるのです。

 

また、新たに新増設された営業倉庫に限り、次のような減税措置を受けられます。

【所得税・法人税】
適用対象:倉庫用建物等、5年間10%の割増償却

【固定資産税・都市計画税】
適用対象:倉庫、課税標準を5年間1/2に軽減

【固定資産税】
適用対象:附属機械設備、課税標準を5年間3/4に軽減

 

 

物流総合効率化法の支援対象となる事業とは?

ここでは支援対象となるための要件と、要件を満たすための方法の具体例についてご紹介します。

 

支援対象となるための認定基準や要件をチェック

「総合効率化計画」の認定は、「2以上の者(法人格が別の者)」の連携によって「流通業務の一体化」や「輸送の効率化」を試みる事業に対して行われます。

 

支援対象となるためには、さらに「事業によって流通業務の省力化や環境負荷の低減が期待できる」ことが必要です。

その他にも、事業の確実性や各法令への適合性について、細かな要件が設けられています。

また、先ほどご紹介した「特定流通業務施設」の認定については、「物流拠点施設に関する税制特例」を受ける場合、次に示した税法の要件も満たす必要があります。

  • 新増設された営業倉庫であること
  • 施設が高速自動車国道のICなどの5km以内または特定臨港地区・臨港地区にあること
  • 多階の普通倉庫なら耐火建築物、平屋の普通倉庫・冷蔵倉庫・貯蔵槽倉庫なら準耐火建築物であること
  • 鉄骨造なら骨格材の肉厚が3mm以上であること
  • 到着時刻表示装置が設置されていること

詳しくは国土交通省ホームページに掲載されている「物流施設の建設や購入をお考えの皆様へ 」でご確認ください。

 

輸送を効率化する方法とは?

認定基準を満たすために、よく行われている「流通業務の効率化」の方法が次の3つです。

  • 輸送網の集約
    それぞれ違う場所にあった倉庫・流通加工場・荷さばき用の施設を一カ所にまとめる
  • モーダルシフト
    輸送手段を長距離トラックから鉄道や船舶などに変え、一回で大量に輸送する
  • 輸配送の共同化
    輸送トラックを複数の事業者で共有し、輸配送を一度にまとめて行う

 

これらに限らず、輸送手段に旅客鉄道や路線バスを利用したり、過疎地域で無駄のない配送を行ったりするなど、物流の効率化・省力化につながる取り組みであれば、認定の対象になります。

 

認定を受けたい事業が輸送の効率化につながるのか判断に迷う場合は、最寄りの運輸局へ行き、窓口で相談してみましょう。

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物流総合効率化法に基づく認定を受けるまでの流れは?

物流総合効率化法を利用するためには、支援を受ける事業の計画を申請書に記入し、地方運輸局へ提出します。

申請書に加え、「特定流通業務施設の平面図、立面図及び断面図」「社会資本等との位置関係を明らかにする図面」といった書類も必要です。

 

認定までの流れは、次の通りになります。

 

  1. 最寄りの運輸局へ行き、物流担当窓口で事前相談する
  2. 事業が認定や支援の対象となるかどうかを窓口で確認してもらう
  3. 認定や支援の対象となると判断された場合、具体的な事業計画の作成を行う
  4. 認定基準への適合性や支援に関する事柄について再確認し、窓口へ正式に申請する
  5. 申請書や必要書類の審査を受ける(必要に応じて説明や補正が求められる)
  6. 問題がなければ事業計画が「総合効率化計画」に認定され、支援の対象となる

 

ただし、物流施設の開発許可取得など、正式な申請の前に地方運輸局や関係行政機関との調整が必要な場合もあります。

実際に申請をお考えの方は、最寄りの運輸局などへご相談ください。

 

 

営業倉庫を建てて物流総合効率化法を活用しよう!

物流総合効率化法とは、流通業務の省力化や物流の効率化を図る事業者を、国が後押しするための法律です。

物流業界の人手不足や、環境への負荷といった問題を解決し、日本の国際競争力を高めるために、施行・改正されました。

 

物流総合効率化法の認定を受けると、経費の補助や様々な制度での優遇といった支援が行われます。

特に、営業倉庫を新増設した場合は、開発許可の優遇や減税措置を受けることが可能です。

 

支援を受けるには、「2者以上が連携して事業を行うこと」や「輸送を効率化する」などの要件を満たす必要があります。

輸送を効率化する方法として良く行われているのは「輸送の集約」「モーダルシフト」「輸配送の共同化」の3つです。

 

認定の申請には、事業計画を記載した申請書などの必要書類を地方運輸局へ提出する必要があります。

申請をお考えの方はまず、最寄りの運輸局へ相談してみましょう。

 

また、「物流拠点施設に関する税制特例」を受けるために、北海道や東北で営業倉庫の建築をご検討なら、ぜひ戦略倉庫へお問い合わせください。

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久保 大輔設計部 部長

某設計事務所にて設計監理業務に従事し、現在は内池建設にて倉庫建築をはじめ様々な建築設計に取り組んでいる毎日です。建築を楽しみながら、安心で快適、使いやすく、みんなに愛される建築を提供していきたいと思います。

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