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2023.09.15

倉庫や工場の附置義務駐車場とは?制度の内容や目的も解説

こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。

 

一定規模以上の建物には駐車場の設置が義務付けられており、この制度によって設置される駐車場を「附置義務駐車場(ふちぎむちゅうしゃじょう)」といいます。

 

これは周辺の交通円滑化を目的に駐車場法で定められているもので、具体的な基準や広さは自治体がそれぞれ条例によって規定しています。

 

今回は、この附置義務駐車場について解説します。

 

国が示す標準的な基準値や、倉庫や工場に適用される際の数値もご紹介しますので、あらためて確認してみましょう。

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ここに目次が入ります

 

 

附置義務駐車場・附置義務制度とは

附置義務制度とは、一定の地区内で一定規模以上の建物の新築・増築の際には、敷地内に駐車施設の設置が必要というものです。

 

この附置義務制度に従って設置される駐車場のことを「附置義務駐車場」といいます。

 

附置義務制度の目的は、路上駐車の解消や道路交通の円滑化です。

 

駐車場法第20条に基づいて各自治体が附置義務条例を定め、対象となる建物の用途や延床面積、駐車場の台数や広さなどを規定しています。

 

詳細は自治体ごとに条例で決めるのですが、国は標準駐車場条例として以下のような基準を示しています。

地区 建築用途 延床面積 駐車施設1台の整備を要する建築床面積(原単位)
人口がおおむね100万人以上都市 人口がおおむね50万人~100万人未満都市 人口がおおむね50万人未満都市
・駐車場整備地区

・商業地域

・近隣商業地域

特定用途に供する部分 条例で定める規模以上

(目安:人口50万人以上の都市では1,500㎡、人口50万人未満の都市では1,000㎡)

百貨店その他の店舗の用途に供する部分 200㎡ 150㎡ 150㎡
事務所の用途に供する部分 250㎡ 200㎡ 200㎡
特定用途(百貨店その他の店舗、事務所を除く)に供する部分 250㎡ 200㎡ 200㎡
非特定用途に供する部分 2,000㎡以上の条例で定 める規模以上 450㎡ 450㎡ 450㎡
上記の周辺地域又は自動車ふくそう地区のうち条例で定める地区 特定用途に供する部分 2,000㎡以上の条例で定 める規模以上 250㎡ 200㎡ 150㎡

※参照:駐車場の附置義務制度(国が示す標準駐車場条例における附置義務)

 

なお、道路交通の円滑化などを目的に制定された附置義務制度ですが、近年の自動車保有台数の減少などにより、対象となる建物の延床面積の引き下げや、台数緩和などの見直しも行われています。

 

 

倉庫や工場の附置義務について

上空からの駐車場

倉庫や工場は特定用途の建物にあたり、附置義務制度の対象です。

 

札幌を例に挙げると、以下のような条件で附置義務駐車場の設置が必要となります。

 

<対象となる建築物の規模>

  • 駐車場整備地区に延床面積2,000㎡を超える倉庫・工場(全部が特定用途)を建てる場合
  • 商業地域・近隣商業地域に延床面積1,500㎡を超える倉庫・工場(全部が特定用途)を建てる場合
  • 周辺地区・自動車ふくそう地区に特定用途の部分の面積が合計2,000㎡を超える倉庫・工場を建てる場合

 

<駐車施設の附置台数を算定基準値>

  • 駐車場整備地区では特定用途に供する部分500㎡ごとに1台
  • 商業地域・近隣商業地域では特定用途に供する部分250㎡ごとに1台
  • 周辺地区・自動車ふくそう地区では特定用途に供する部分250㎡ごとに1台

※参照:札幌市建築物における駐車施設の附置等に関する条例及び同条例施行規則の手引き

 

例えば、札幌市の商業地区に延床面積2,000㎡の倉庫を建て、そのうちの1,500㎡が特定用途に使う部分だったとします。

その場合は、敷地内に6台(1,500㎡÷250㎡=)分の駐車施設を設置する必要があります。

 

工場の駐車場を緑化すれば緑地とカウントされる?

工場周辺の環境を守るため、一定規模の工場には一定割合の緑地を作ることが工場立地法で定められています。

 

限られた敷地内に駐車場を作り緑地も作っていては、生産施設の面積が小さくなって生産性が落ちてしまうことが懸念されます。

 

「同じ屋外設備なら、駐車場を緑化することで直地とカウントできないだろうか?」と考える方もいるかもしれませんが、残念ながらそれはできません。

 

ただし、通常の緑地としては扱われませんが、ほかの施設と重なる「重複緑地」として扱うことが可能です。

「重複緑地」は、緑地全体の25%まで算入することができます。

 

こちらの工場設置法による緑地や環境施設の設置義務について、以下のコラムでも解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

 

工場立地法における緑地化設置義務とは?緑地化のメリットも解説

 

 

附置義務駐車場とは駐車場法と条例で設置が義務付けられた駐車場

駐車場法と自治体ごとの条例により、一定規模以上の建物の新築・増築においては、定められた台数の駐車場を設置することが義務付けられています。

 

この制度を「附置義務制度」といい、この制度と条例によって設置される駐車場のことを「附置義務駐車場」といいます。

 

附置義務制度は路上駐車の解消や道路交通の円滑化を目的に定められました。

 

最近では車の保有台数が減少していることから、条件となる建物の大きさの最低基準や、駐車台数の算定基準の見直しの動きも進んでいます。

 

倉庫や工場は特定用途の建物として附置義務制度の対象です。

 

条件となる建物の規模や確保する駐車場の面積は自治体の条例によって異なりますが、札幌市の商業地域の場合は延床面積1,500㎡を超える場合で、特定用途に供する部分250㎡ごとに1台分の駐車場を確保する必要があります。

 

戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。

倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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久保 大輔設計部 部長

某設計事務所にて設計監理業務に従事し、現在は内池建設にて倉庫建築をはじめ様々な建築設計に取り組んでいる毎日です。建築を楽しみながら、安心で快適、使いやすく、みんなに愛される建築を提供していきたいと思います。

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